俺氏、年越しの瞬間に気絶し完全終了
俺氏、年越しの瞬間に気絶し完全終了
2016年12月31日22:30頃
俺「年越しそばうんめェ~~ッ!!」ズズズズズ…
スーパーで買ってきた半額のそばを勢い良く口の中へと運ぶ。
勿論ひとりでだ。
チラリと窓の方を観る。
雪が降っている。雪だ。埼玉の雪だ。初めてだ。
しばらくすればカップルらしき人たちの楽しそうな声が聞こえてくる。
その後は家族らしき人らのほのぼのとした会話が立て続けにだ。
俺「ふんッ!いいもんね!俺はそば美味しく食べてるから!」
二人前分のそばをペロリと平らげ、ふんぞり返る。
23:10
「松本!浜田アウト~~~~ッ」デデーン
「さて次はPPAPことピコ太郎さん!今回は紅白限定Verで歌うそうです!」
画面の向こうから聴こえる音声がしばらく部屋に響き続ける。
「……ふぅ~…大晦日なのに…暇」
パソコンの画面とにらめっこする俺。平日の俺と同じ格好だ。
「………」
無気力状態は時間の無駄だし、良くないが…ついついしてしまう。悪い癖だ。
ゲームしようかな、いや面倒くさい。
絵を描こうかな…やっぱやめた…しばらくこうしてよ。
よりによって大晦日に悪循環が続く。
23:25
「せめて初詣くらいには行くかな…」
「大好きなおみくじもしたいし」
さすがにずっと大晦日と接点のないことをするのはアレな気がして行動に移す。
「…風呂入ってから行くか」
40秒で全裸になり、そして俺はバスルームへと向かった。
23:30
「ふぅ~…」
気持ちいい。お風呂はやっぱり毎日入るものだ。
46度のお湯が体を包み込む。
人によっては熱すぎる温度かもしれないが、俺にとっては適温なのだ。
「1月4日になると仕事が始まるんだっけか…」
急に現実味が増してくる。当然だがこの年末年始の休みも永久に続くわけではない。
また仕事が始まって…そのうち冬も終わって春が来る。
そして俺の大好きな夏が来て…その後は秋だ。
その後は…また冬…。
俺は今23歳。
こんなことを繰り返して…時は巡って…俺はオッサンになっていくのだろうか?
俺は…この無気力な生活をオッサンになってもし続けるのだろうか?
23:35
これは俺の人生だ。
選択肢も全て俺が決めて俺が思うがままに道を進んでいく。
どうしようとどうなろうと俺の自由だ。
無気力に楽に生きることも出来る…。
目標を目指して波乱に満ちた生き方をすることも出来る…。
さてどっちを選ぶか…。
………
ったくよー!!。
しょうがねえ…ちょっとだけ俺頑張ってみるかな!
一度限りの人生だ。やることやって死のうぜ!!
いっちょやってやっか!!!
23:45
「そうと決まればさっそく行動!!初詣に出かけるぜ!!」
「頑張れ俺!うおおおおお!!」
「2017年は…今までで最高の年越しを迎えるんだ!!!」
「そう、誰よりもイカした年越しと初詣を…俺はするんだ!!」
張り切って湯船から勢い良く身体を出す。
その時、異変が起きる。
「…ん?」グラッ…
23:47
あれ…立ちくらみ…?
上手く立てないし目の前が黒くなったり白くなったり…。
ん?なんで俺倒れてんだ…。
ちょ…意識が…なk…。
00:02
「ん?」
おっと…そのまま気絶していたようだ。
ネットで調べたところ、湯船から急に上がると体温の急変化で立ちくらみが起きるらしい。
…知らなかった。
ちょっと待って年越えとるやんけ。
こうして俺はケツをさらけ出したまま2017年を迎えた。
最高の年越しを迎えるはずがまさかの全裸でこんなことになろうとは。
…さて寝るか。
明日から本気を出そう。
終了
作画:Gawa
原案:Gawa